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熊本の知財をアップデートする(前編)
弁理士 松尾憲一郎さん(松尾知財事務所 会長弁理士)
2021.05.19
知財活動が遅れている地方。熊本もその一つ。戦う弁理士 松尾憲一郎を熊本に招き、熊本発の知財を武器に戦う事業者とつなぐ。また、熊本の知財をアップデートする。フィールドワークスの大切な活動の一つです。
弁理士になったきっかけ
古家
先生、法学部ご出身ですよね。僕も弁理士目指していたけど、文系だったから・・・。でも、文系でも弁理士目指せるんだと思って。
松尾
弁理士になる時、技術の仕事をするという前提だった。僕は技術系のこと大好きだったから。だから、大学も理工系に行くべきだったと思う(笑)。
古家
ははは(笑)。
松尾
父親が西日本鉄道にいて、九州大学出身者は出世頭。だから、西鉄に入れたかったんだろうね。法学部に進んでしまって(笑)。
古家
いや、だからですよ。お父さんが西鉄で、なぜ弁理士の道を選択されたんだろうと思って。
松尾
まず、大学卒業してからは、損害保険会社の査定部門の仕事に就いたんですよ。当時、一番楽で待遇のいい仕事は損害保険会社だったんですよ(笑)。そこで、どういう事故だったのか、火災だったら、何が原因でそういう消火したのか?とかそういう事故のサイエンスを勉強させられた。
古家
そんなことをされていたんだ。
松尾
3−4年やっていたら、ちょっと飽きてきて(笑)。
古家
飽きてきた?(笑)。
松尾
そんな時、学生時代の法学部の先生で井上正治先生って言う方がいて、秘密漏えい罪っていう授業があって。当時、大学は弁護士やら検事やらの職業ばかりを言っている中、井上先生は「弁理士って仕事は面白いよ」って秘密漏えい罪の授業で一生懸命話すわけ(笑)。
古家
面白い先生ですね。
松尾
そうそう。この先生、一世風靡した先生で、交通事故なんかの時の「過失」という概念を持ってきた先生。
古家
その先生が、若かりし頃の松尾青年に「弁理士」っていうのを植え付けていたんですね(笑)。
松尾
そうそう(笑)。それが妙に頭に残っていて。それで、会社を辞めて、受験新報を買ってみた。そしたら、それに弁理士のことが書いてあって「2年勉強して資格を取って、すぐ年収1000万円!」とか書いてあったわけよ。すぐ信用しちゃってね、これやろう!って(笑)。
古家
そんな理由?(笑)。
松尾
それで、福岡で当時一番大きな矢野特許事務所に勤め始めて。でも、簡単に試験に通らないわけよ。 ここまでやっていて、なんで通らないのかなって(笑)その当時から、事務所のために営業したりもしていた。先々は自分のクライアントにもあるかなと思ったりして。
後編に続く
(文・村上加余子 写真・柊木堂)