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熊本の知財をアップデートする(前編)

弁理士 松尾憲一郎さん(松尾知財事務所 会長弁理士)

2021.05.19

知財活動が遅れている地方。熊本もその一つ。戦う弁理士 松尾憲一郎を熊本に招き、熊本発の知財を武器に戦う事業者とつなぐ。また、熊本の知財をアップデートする。フィールドワークスの大切な活動の一つです。

松尾先生プロフィール

1942年生まれ。福岡県出身。九州大学法学部卒業後、1971年矢野特許事務所入所。1975年に弁理士登録し、1977年に松尾特許事務所を開設する。2003年には日本弁理士会副会長を務めた。特許庁長官表彰、旭日双光賞を受賞。

古家

フィールドワークスのホームページ用にうちの自己紹介はもちろんなんですが、うちと関わりのある大切な方々と改めてお話しをしたいなって思ってですね。その初回が、yard(古家が経営するシェアオフィス)に席を置いてくださっていて、フィールドワークスにとっても大切なパートナーである松尾先生に是非お願いしたいって思って。僕にとっては、いつも重要な場面で、背中を押してくれる存在です。本日は、よろしくお願いいたします。

松尾

古家さんの魅力が伝わるといいな。頑張って話しします(笑)。

松尾先生との出会い

古家

ところで先生、僕らの出会いっていつだったか覚えていらっしゃいますか?

松尾

いつだったっけ? 古すぎて覚えてないな(笑)。

古家

だろうと思って(笑)。調べてみたんです。平成17年で、16年前でした!

松尾

と言うことは、古家さんが20代の時だったか! 私は…還暦過ぎていて……まぁいいか(笑)。

古家

ふふふ(笑)。

松尾

平成15年に日本弁理士会の副会長を辞めて、時間に余裕ができて、いろんなことに目を向けるゆとりができた頃かな。

古家

僕が熊本大学で知財を担当していた頃です。その当時、熊本大学は東京の弁理士ばかりにお願いしている状況で。もっと近くのいい弁理士使った方が良くないかな?って思っていました。

松尾

なるほど。

古家

じゃあ、「いい弁理士」ってどんな弁理士だろう?って考えて。「戦える弁理士」がいいなって。

松尾

はいはい。

古家

その当時、例の「アルゼとサミーの戦い(※)」真っ只中でした。210億円の損害賠償請求をしたというのをヤフーニュースで知っていて。でも、この戦いに、まさか福岡の代理人(弁理士)が補佐に入っているとは思わなかった。それが松尾先生だったんです。
(※パチスロ機に関する特許を侵害したとしてアルゼがサミーを提訴した戦い)

松尾

何年って戦っていたもんね。

古家

特許侵害で数百億の損害賠償なんて日本であるんだ!と、当時びっくりしたんです。

松尾

うん、数百億はなかったかもね。数十億はあったけど。青色発光ダイオードなんかも600億で一部請求で200億だったかな。

古家

この戦いを見て、絶対、先生にお声かけしたいと思ったけれど、お声かけしていいものかどうか分からなかった。その時、力を貸してくれたのがJST(※)の矢野さんでしたよね。
(※国立研究開発法人科学技術振興機構)

松尾

そうそう、矢野さん。久留米附設高校時代の同級生でね、もう亡くなってしまったけどね。彼が古家さんとの関わりを作ってくれたんだよね。

古家

矢野さんのおかげで先生にラブコールを送ることができて、晴れて熊本大学に来てくださって、案件を引き受けてくださるようになって。

松尾

はい。

古家

松尾特許事務所にお願いしたのは「訴訟に強い」という理由が一番でした。訴訟に対応できる特許事務所ってそう多くはないと僕は思っていて。松尾先生はいつ事務所を開設されたのですか?

松尾

44−45年前かな。昭和50年に弁理士になって、2年後に独立しました。

古家

事務所、僕と同い年くらいですね(笑)。他の事務所にない、先生の特許事務所の強みってなんでしょう?

松尾

その頃、九州から弁理士の資格を取得したのは、僕が20何年ぶりだった。当時は、いい時代でね、企業さんが弁理士を探している時代。自社で弁理士を使わずに明細書を書ける企業が多かった。でも自社出願っていうのを嫌っていて、だから弁理士は代理に、名前だけを貸すって感じ。左うちわだったんですよ(笑)。

古家

すごい時代ですね(笑)。

松尾

九州の弁理士さんは多くが高齢の人ばっかりだったけどそんな中、私は30歳くらいで、若いのが九州にいるってのが珍しい時代だった。それで企業との関わりがすぐできた。もともと大阪で実務は経験していたから、実務ができる弁理士ということで大阪での引き合いもあったんだけれども、両親の希望で地元福岡で開業して。じゃあ、どんな事務所にしようかなと。

古家

はいはい。

松尾

この当時は、全出願の99%が大企業の出願だったから大企業の出願をもらわないと弁理士として生活の基盤はできないと思って。大物狙いでヤンマーの仕事をもらえた。ここを手掛かりに、TOTOや他の企業さんなんかをメインにしていた。

古家

福岡の有名ラーメン店なども担当されていましたよね?

松尾

そうそう。東京・大阪の大きな弁理士事務所と競い合うという、地方の特許事務所ではあまりないような動きをしていたかもしれない。そうしたら、地元の中小企業さんも信頼してくれるところも増えてきて。

古家

僕が、客観的に見て、他の特許事務所と全然違うなって思うのは、先生の特許事務所は「営業力がある」というところも感じます。

松尾

うんうん。大企業メインに営業していたのは、地方では珍しいと思います。

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