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熊本の知財をアップデートする(後編)
弁理士 松尾憲一郎さん(松尾知財事務所 会長弁理士)
2021.07.16
知財活動が遅れている地方。熊本もその一つ。戦う弁理士 松尾憲一郎を熊本に招き、熊本発の知財を武器に戦う事業者とつなぐ。また、熊本の知財をアップデートする。フィールドワークスの大切な活動の一つです。
地方での知財活動
古家
僕が弁理士を目指していたのは、そんな件数があった頃の話で。今を見てみると、熊本での年間の出願件数は、200件くらい。そう考えると、特許事務所、弁理士でやっていくのは難しいなと思うんです。
松尾
そうかもね。熊本も、17年ほど前は、400件くらいあったよね。誰が代理人かも全部調べた(笑)。そしたら、8割東京。福岡がちょこちょこ。ほとんど地元の弁理士を使ってなかったんだよね。
古家
そうでしょうね。
松尾
地元が頑張らないといかん!と思って。そう言うこともあって、ひとつ熊本に来るきっかけになった。あと、大企業の件数が減ってきたと言う時代でもあったし。
古家
今、先生は、松尾特許事務所は代表を退かれて会長になられていますよね。
松尾
はい、そうです。2年くらい前。
古家
熊本に新しく代表事務所を開設されましたよね。熊本に期待することってありますか?
松尾
地元の弁理士があまり活躍できていないと言うのと、熊本の知財のポテンシャルが引き出せていないと言うところが気になって。いい代理人が育って、いい仕事が地元でできるようになるといいなと思っています。
古家
うんうん。
松尾
私の事務所のことで言えば、息子が10年くらい一緒に仕事していて、これからは私の年齢を考えて、息子がメインの仕事をマネジメントしていくべきだと思って。大企業の窓口は30−40代がいい。その代わり、私が中小企業を担当していこうと。特に熊本の中小企業さんはおもしろくて。いいなと思って。
古家
先生は、いつも熊本の相談は、レベル高いとか、おもしろいって言ってくださる。そう言ってくださると、熊本で頑張っている自分としては嬉しいし、何より事業者さんが嬉しいと思うんですよね。
松尾
熊本がレベルが高いというのは、知財総合支援窓口にやってくる人たちの出願レベルが高いということ。これは熊本の特徴と言っていいと思います。福岡は、窓口あるんだけど、ちょっと出願に結びつけてあげたいと思うようなものがなかなか来ない(笑)。それは、レベル高い企業には、既にそれなりの企業には特許事務所がついているわけで。熊本は、特許事務所が少ないので、窓口に集まってくるんだろうね。知財総合支援窓口は最後の頼り綱なんですよ。
古家
なるほどですね。
松尾
最初はわからなかったんだけど、熊本の中小企業さんは、知財総合支援窓口で知財になじみを持つんだなというのがわかってきた。
古家
すごくその感覚わかります。
松尾
これだけニーズがあるのに、それだけの仕事をこなす人がそもそもいない。勿体無いと思うし、私にとっては、非常にチャンス(笑)。それなら、熊本に骨を埋めてもいいかなと(笑)。
古家
需要と供給があっていないんですよね。熊本は、知財を商売にする人にはいい市場ですよね。
松尾
本当なら30人いてもいいくらい。(笑)。
古家
まだ気づいてもらえてないんですかね(笑)。
松尾
気づいても来ないんですよ。熊本で骨をうずめるほどの気持ちはない。私が、あと10年若かったら(笑)。
古家
え?(笑)。
松尾
息子へ事務所の引き継ぎなどもしなくちゃいけないし、熊本のこともどちらもゆっくりやりながらできたと思うんだけど。